IQは高くなるのか

 あなたのお子さんのIQを高くします。

 こんな触れ込みの学習塾がありました。本当でしょうか。今日はその話をしましょう。

 私は心理学が専門ですし、その中で知能の測定は私の主要な領域でもあるので、この質問は常に身近なものでした。
 かつて、知能の遺伝的な要因に左右されやすく、70%近くは親の遺伝形質によって規定されるといわれてきました。ただ「コンピテンツ(知的実力)」という新しい知的概念では、知能プラス意欲によって、知能が変化する可能性があるとされました。
 例えば、ジグゾ~パズルなどで、最初からやりたがる子どもたちと、ある程度でき上っているものを完成させることを好む子どもとでは、前者のほうが、知能が伸びやすいという実験結果がありました。上手に褒めて、やる気を育てる教育の大切さはこのあたりに根拠を置いているようです。


 さて、古くは「知能の恒常性」といって、知能は遺伝的要因が強く、後天的にはあまり変化しないというのが定説でした。だからこそコンピテンツが大きな刺激を与えたわけです。
 最近の認知心理学では、さらに「実行能力」という概念が重視され、そうした物事をやり遂げるために、いろいろ工夫する能力の豊かな子どもの知能は伸びやすいとも言われます。
 単なるやる気ではなく、計画性とか、解決に当たって全体的な方向性をいろいろ考える力です。

 囲碁のコンピュータソフトがプロの棋士を負かしたというニュースが話題になりましたが、単に記憶するだけでなく、無限の可能性の中からさまざまな予測する能力も駆使しているようです。
 ただ、繰り返し練習させて見かけの知能指数を上げても、本当の知能が高くなるわけではありません。練習効果という慣れだけの問題なのです。ですから、そうしたことで親を喜ばせる手合いは???です。
 

 子どものやる気や、計画的な解決法を自分で工夫できる子どもは、きっと自由さと自信、そして信頼感のある人間関係を大切にする子育てから育まれるのではないでしょうか。

 そうした子どもの伸びしろを豊かな環境の中で、少しでも伸びやすくすることがバランスの良い子育てにつながると思います。

2016年6月15日 10:00 | | コメントを読む (0) | コメントを書く