発達障害のある子どもが増えている

 ある学校の先生から「最近、教師からだけでなく、保護者からも、子どもさんが発達障害だという話が増えているが、なぜだろう」というご質問がありました。

 50年近く、LDと呼ばれる子どもの啓発や対応、教育上の支援システムとかかわってきた私の意見です。

 かつては、LDや発達障害のお子さんの話を学校現場でしますと、「そういえばそんな子どもと出会ったことがある」という先生がいました。しかし、文部科学省が本腰を入れて、発達障害の子どもの支援教育に取り組みだしてから様相は一変しました。

 全国調査でも、LDやADHD,ASD(自閉症スペクトラム障害)と呼ばれる典型的な子どもたちが、通常の学級に6.5%入るという事実が、通常学級の担任の先生から報告されています。
つまりここ20年近くの間に、こうした子どもたちへの理解が急速に進んだということが増加の背景にはあると思います。

 一方、そうした理解は、大学などの高等教育はもちろんですが、高等学校などでやっと気づき始めたといわれます。
 毎年、特別支援教育の実態調査を文科省は行っていますが、小中学校の先生で、発達障害のある子どもが自分の学校にはいないと答えるケースはほとんどありませんが、高等学校では、まだいないと答える先生が3割近くいるそうです。小学校での理解度が一番高く、中学校や就学前の幼稚園や保育所などでも理解は進んでいます。

 このように理解が進むとともに、そうした数の上での増加という現象が起きることは、過去の障害児理解では共通して見られることなのです。同時に、逆の現象というか、何にでもそうした名前を付けてしまうという、行き過ぎもあるようです。
 こうした行き過ぎは、LDなどの先進国である米国や英国でも報告されています。あまり良い表現ではないのですが、「ウェストバスケット(屑籠)」現象と呼ばれます。なんでも安易にそこに放り込むというわけです。

 私たちは一人一人の子どもの状態と、何を求めているか(ニーズ)をしっかり受け止めて、その子どもに必要な具体的な支援を見つけ出すことが何よりも大切なのです。

 言葉としての知識や、診断名も大切ですが、子どもへの理解と支援の内容が広がらなければ、何にもなりません。そうした方向を大切にこれからも皆さんと努力していきたいと思います。
どうぞ、率直なご意見、ご質問お寄せください。

2016年5月18日 10:00 | | コメントを読む (0) | コメントを書く