知能テストのはなし(1)

以前に、発達障害のあるお子さんの相談では、知能の発達具合が分からないと
進路も含めて相談がしにくいと書いた記憶があります。
知能テストは子どもの状態を正確に知るために必要なツールです。

身体の健康具合を調べるときに血圧などを測るのと一緒です。
結果が怖いからといって、検査を受けないのは
もっと怖いことになる危険性だってあるのです。
状態を正確に、客観的に理解することは、子どもにどのような支援や援助が
必要かを知る上で欠かせないことです。

ところで先月、世界20カ国近くで使われている知能テストの
最新版が日本でも完成しました。
今から60年以上も前にアメリカでデビッド・ウェクスラーという
心理学の先生が開発された知能検査で「ウェクスラー知能検査」と呼ばれます。
幼児用はWPPSI(ウィプシ)、児童用はWISC(ウィスク)、
成人用は(ウェイス)と呼ばれます。

WISCは5歳から16歳11カ月の年齢範囲の子どもに使われますが、
今度完成したのは、その第4版でWISC-Ⅳ(ウィスク・フォー)と呼ばれます。

カズ先生は長くこの検査に関わってきており、
WISC-Ⅳの刊行委員会の代表も務めています。
私たちはこうした心理検査を使って、子どもたちの知的な発達の状態をできるだけ
詳しくつかみ、その情報を指導にどのように活かせるかを考え続けてきています。

知能テストの問題を練習させて、見かけの点数だけを伸ばすとか、
結果を良く見せて、有名幼稚園に合格させるなどということとはまったく違います。
確かに知能のなかには、学習やよい環境のなかで伸びていく部分もありますが、
それはほんの一部だと思っています。

むしろ、そうした状態や特徴のなかで、子どもが生きていく力を発揮させるために
何が効果的かを考えたいのです。

なぜ心理検査を受けたほうがよいのですか という質問をされる親御さんがいます。

LDなどの子どもがなぜ学習に遅れやつまずきをもちやすいのかといえば、
それは子どもの脳の働きに何かアンバランスさのあることが推定されるからです。
そうしたアンバランスさの一部は知能テストや認知検査といった
心理検査を使うことで明らかにすることができます。
そこでLDの判断にあたっても、そうした心理検査の詳しい評価が求められるわけです。  

わたしたちがLDであることを明らかにするのは、子どもの状態を正確に知って、
よりよい支援の在り方を探ることにあります。
心理検査を受けることがなぜ必要かといえば、その子どもの学習や行動の
背景にある脳の働き、つまりその子どもの知的な情報処理の特徴や
行動のメカニズムを知りたいからなのです。
心理検査はそうした情報を得るための道具(ツール)であり、その情報を
子どもたちのために活かすかどうかが私たち心理の専門家に委ねられているのです。

2011年2月 9日 09:50 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

上野先生

知能テストのはなしを読ませていただきました。

私は娘二人の母です。
上の子が去年、学芸大附属高校を卒業いたしまして、在学中に先生のご講演を聴かせていただきました。

先生のお話をうかがって、下の子が発達障害に当てはまるのではないかと思いました。
本人も、中学、高校の友達関係の経験から、最近、自分が発達障害ではないかと思っているようで、診断テストを受けることを希望しております。
現在は、高校になんとか通っておりますが、周囲との違和感は感じているらしく、診断を受けて白黒つければ気持ちがすっきりするのに、と言っております。
家の近くの心療内科に聞いた所、発達障害の診断をしてくれそうな医療機関を幾つか紹介してくれたのですが、調べた結果、なかなか期待にそえる医療機関は見つかりませんでした。
高校生の為、小児科で診てもらえないことが大きいです。
神奈川、東京で高校生の発達障害の診断をしてくれる医療機関があれば、情報をご提供いただきたく、お願い申しあげます。

Posted by: きゃさりん | 2011年2月11日 17:55


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