知能テストのはなし(2)

心理検査は教育のなかでどのように利用されるのか
知能検査や認知検査は100年以上もの歴史があります。
最初はIQ(知能指数)とか精神年齢といった
総合的な能力の指標が大切にされました。
それは通常の教育についてくることができない子どもたちを判別して、
特別な教育を準備しようとする意図があったからです。

こうした判別が主な目的だと、知的発達という連続した状態に、
知的障害の有無という区分を持ち込み、それだけが強調されたり、
特別な教育の場を強要したりする結果も一部で起き、
このことがこれら心理検査に対するさまざまな誤解を招くことにもなりました。

特別支援教育は一人一人の子どものニーズに応える教育といわれます。
心理検査の利用面でもさまざまな影響が及んできています。
最近の動向は、知的発達の全体レベルの推定だけでなく、
一人の子どものなかでの能力の特徴(個人内差)や
知的処理(プロセス)の特徴を明らかにしようとしていることです。
まさに判別から指導へという目的の変化が心理検査の利用にもみられるのです。
 
どのような心理検査があるのか
子どもの知的能力を評価する心理検査には、検査者と子どもが一対一で行う
個別式の検査と、集団で実施される集団式検査があります。
集団式の検査は、短時間で大勢の能力が評価できるという特徴がありますが、
それだけ大づかみという欠点があります。
LDなどの評価では多少時間はかかりますが、詳細な情報が得られる
専門的な心理士による個別式検査が用いられます。

そうした個別式の心理検査としては伝統的な知能検査と
新しいタイプの認知検査とがあります。
また知能検査には、ビネー式(田中ビネー知能検査V)、
ウェクスラー式(WISC-Ⅲ、現在、WISC-Ⅳ標準化中)など、
認知検査には、K-ABCアセスメントバッテリー(現在、KABC-Ⅱ標準化中)、
DN-CASなどがあります。

これらの心理検査は、いずれもそれぞれの概念定義によって、
子どもの知的構造を明らかに測定しようとするのですが、
例えるならば、それぞれが多少異なる角度から照明をあて、
子どもの脳の状態を明らかに映し出そうとしています。
同じような像を結ぶこともあれば、特定の検査によって
より明らかになる場合もあります。
心理士は子どもの状態によって、複数の検査を用いることもあり、
バッテリーを組むといいます。

心理検査はどこで受けられるのか
これらの心理検査は、心理士を置いている病院やクリニックなどの医療機関、
あるいは発達相談所や教育相談所で受けることができます。
たいていの場合予約が必要ですし、公立の相談機関などでは
無料で受けることもできます。
特別支援教育が進んでいる地域では、保護者が専門家チームにおける相談を了承すれば、
校内委員会からの要請によって、教育委員会から心理士が学校に派遣され
検査評価をする場合もあります。

わが国では検査のとれる心理士などの資格は、
まだ学会などが認定する民間資格ですが、そうした資格としては
臨床心理士、特別支援教育士、学校心理士、臨床発達心理士などがあります。
国家資格である言語聴覚士などの言語の専門家のなかにも
こうした検査を取ることができるひとがいます。
かつては言葉や聞こえに障害のある子どもを扱う特別支援学級の先生のなかにも、
こうした検査を取ることができる先生方いましたが、
だんだん専門的な資格化が進んできています。
 
心理検査を受けるとき何か大切なことがありますか
資格問題とも関係するのですが、ひとの心理的能力を査定したり解釈したりする際には、
十分な知識と技術、そして深い倫理的な専門性が求められます。
特に、そうしたアセスメントにあたって必要なことは、
アセスメントを受けたひとの人権が尊重されなければならないというということです。
そのためには検査の結果についてもていねいな説明を受けるべきです。
本人や保護者の同意のないまま不適切な措置につながったりしてはなりませんし、
関係者は、個人の情報としての守秘義務についても理解が必要です。
あくまでも心理検査を受けるのは、本人の利益のためにするのだ
ということを忘れてはなりません。

2011年2月23日 09:50 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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