知能テストをめぐる話(1)

知能テストのお話をしてきました。
ところで知能テストをとるとき、保護者の了解をとることはもちろんですが、
子どもにも子どものわかる範囲で説明をすることがあります。
知能テストは協力的なよい雰囲気のなかで
子どもの最大の力を発揮させなければならないからです。

ある時、知的には遅れてなさそうなのに勉強につまずきの目立つ、
どうやらLDの疑いのある中学3年生の女の子がいました。
何とか勉強ができるようにという保護者の願いは強く、
子どももそれに応えようとするのですがうまくいきません。
何事にも自信がなく、進路を考える時期になって、
このまま今の状態で何とか入れる高等学校を探して、
行ったとしてもついていくことができるだろうか。
この子に合った進路を見つけ、準備するにはどうしたらよいか
一度専門家の診断をという御相談でした。

そこでこのお子さんの状態をしっかり把握するため、
心理士による行動観察と心理検査が実施されました。
大変敏感なお子さんで、こうした検査をする前に
気持ちをほぐすためにいろいろお話をしていたら、
「私がばかだから、こんな検査をすることになったんですよね」
と言ったのがとても印象的でした。

こんなことを言えるのは、自分のことがわかっているわけですし、
本人が苦しんでおり、日常的に傷ついているのはあきらかです。
「あなたの隠れた力をちゃんと見つけ出すためにこの検査をするのですよ」
と安心させて検査に入ります。

劣等感や自信のなさが目立つお子さんでしたが終了後に、
「あなたにはとてもよい力があることがわかりましたよ」
と話をすると、とても嬉しそうな笑顔がありました。
やったという充実感と、ふだんそうした体験が
とても少ないのだということがわかります。

結果を分析した後、保護者と依頼された学校の先生に、
検査の正確な結果と考えられる支援方法について説明する話し合いが持たれました。
先生方はこの結果を受け、何でも頑張らせる、ただみんなについて行く
という指導ではなく、学びにくい部分は基礎的な理解を中心に、
比較的うまくいっている部分はそれを認めていくことを中心に
残された時間のなかで支援をしました。
家庭でも、励ますつもりの言葉が子どもの重荷になってきたことを理解され、
子どもの努力を認めるよう変化がありました。

こうした周囲の理解と努力は、何をしたらよいかという具体的な目標となり、
学校側のていねいな支援の結果、本人も自信がついてきてよく頑張り、
先日、希望する高校に入学することができたと、
その本人からも感謝しているというお知らせが届きました。

あの知能テストの後、とても明るくなったそうで、
検査時、保育士になる夢を語っていましたが、その夢を実現できそうだという
具体的指導がお子さんの努力につながっていったのだと思います。
このように心理検査も子どもたちを正確に、客観的にとらえ、そこから一緒に、
明日に向かってスタートするためのツールとして役立てることができるのです。

2011年3月 9日 09:47 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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