知能テストをめぐる話(2)

もうひとつ最近あった知能テストをめぐるお話をします。

私たち心理検査を扱う専門家にとって、検査の結果を一番共有したいのは
親御さんであることが多いのです。
近年、教育相談をしていて気づくのは、さまざまな事情で
ご両親がいない子育ても増えてきていることです。
また、ご両親がいてもお二人の子育ての理解や方針が
食い違っているケースに出会うことも少なくありません。
大切なことは、どのような形にしても、親の子どもを思う気持ちが、
子どもをたくましく、のびやかに育てる力につながって欲しいということです。

先日のことです。
小学校高学年で、漢字がよく習得できないLDの疑いのある男の子に
知能テストをした時のことです。
心理士が、これからする知能テストについて、
「これはあなたのよい力を見つけ出すためにする検査ですよ」と説明をすると、
「わかったら僕にも教えてください」と言いました。
こんな言葉がいえるだけでも、知的な高さと意欲が感じられます。

今日、お話ししたかったのは、検査の結果をご両親にお伝えした時のことです。
お子さんの様子については、いつも母親から聴き取っていましたが、
結果についてはご両親にお話ししたいと伝えたところ二人揃ってきてくれました。

多くの場合、子どもの教育の最前線にはお母さんが立っていることが多く、
間接的にお母さんから報告を受けるという父親もよく見られます。
両親揃ってこられた場合は、直接お二人にお話しできるので、
より正確にどのように理解されたかがわかります。
特に普段、お会いしたり、学校に見えたりする機会の少ないお父さんから
家庭での様子をお聞きできるということは、
相談者にとってとても貴重な機会と言うことができます。

今回のお父さんは、お子さんの状態が自分の子どもの頃とよく似ていると、
非常によく理解され、不安で心配しがちなお母さんのパートナーとして、
ほんとうに心強い存在でした。

ご両親ともに、お子さんの認知面での特徴を知り、
彼のひらめきや発想の良さを大事に育てていきたいと話されました。
とくに、苦手な漢字も、これまでのような何十回も書かせる勉強ではなく、
本人に合うやり方を尊重すると言われました。
そして、是非子どもにも彼のよいところを話して欲しいといわれました。

いろいろな特徴のある子どもがいます。
その特徴を誰よりも理解しなくてならないのは親御さんです。
そしてそうした理解を、本人や先生方も一緒に共有できた時、
その子どもに合った育て方が始まるのではないでしょうか。

2011年4月 6日 09:29 | | コメントを読む (4) | コメントを書く


コメント

上野先生。ふた昔ほど前、小金井の大学で先生のご講義を拝聴したものです。あの頃のテキストは「教室の中の学習障害」でした。さて。こちらへたどり着いたのは、私の次女がギフテッドの教育の学校に進学することになったことがきっかけです。遅ればせながら母親である私も「WHAT'S GIFTED?」を学びはじめることになりました。
外国暮らしをしている私には三人の娘がおりますが、見事に個々の性格は異なります。長女は性格が似ているので、非常に私にとっては扱いやすい子供でした。しかし。次女は幼いころからキレやすかったり。言っていることもよくわからず、コミュニケーションもとりにくい子でした。それをバイリンガルの環境のせいだと軽く考えていたり。ただ我が強い子供だと躾を厳しくしようとしたり。私と彼女との関係は本当に最悪でした。学校の成績は常に首席だったのものの、別にガリ勉という訳でもない。私には次女がただ扱いにくい&相性の悪い子という気持ちしかなかったのです。
それが一変したのは、当地の政府が昨年からスタートしたギフテッド教育校の一期生に次女が選ばれてからでした。このプログラムはJohn's Hopkins UnivのCTYをお手本にしています。ギフテッドの子供の特徴を理解するにつれ、次女と私は性格こそ違うものの、物事への興味の持ち方、そして知識を得ることを何よりも喜びと思っていること。そんな自分と共通する部分をいくつも発見することができました。公文が嫌いなのも、繰り返して同じことをするのが大嫌いだからで、飽きっぽいわけではないことも納得。今では次女は私を信頼して何でも相談をしてくれるまでになりました。
知能テストで何がわかる?それだけが全てじゃないって、思う人は多いと思います。でも。少なくとも私と娘には天啓でありました。知能指数が高い子供にも特別な配慮は必要だと、私たちは思います。そして。もちろん、ギフテッドは天才ではありません。一クラスに一人くらいの存在にすぎませんけれど。小学校で大変な問題児だった私は、自分もギフテッドだったのか?と考えると、様々なことに符牒があってしまうのです。
ギフテッド。どうして私が子供の頃にはこんな考え方がなかったんだろう?とも思います。全てを「成せばなる」で片付けてしまう日本。人間の能力は後天的なものだと信じている人たち。知能が高いばかりに授業がつまらなくて騒いでしまう子供だっている。小学生だった頃の私がそうでした。そして。そんな私が先生方からは嫌われていたのは当然です。努力をしないで要領がいいだけの子供と思われていました。母は学校の先生の評価など気にせず、外の世界(四谷大塚)へ導いてくれました。結果、中学からはお教室に窓から出入りしようが「避難訓練ですか?」と先生方があしらってくれる学校へ通うことができ、普通の社会人として現在に至っております。
上野先生。LDからそれていますね。ごめんなさい。でも先生がギフテッドのことも特別な教育として取り上げてくださっていたのを本当に嬉しく思いました。せめて10年前に彼女がギフテッドだとわかっていたのなら、私は文中のお父さんのように、もっと上手に彼女に合ったやり方ができたはずです。過去に戻れるならば戻りたいです。ああ。教育学士号が泣いてますね。すみません。先生。

Posted by: mai | 2011年4月13日 13:49


maiさん、そして上野先生、うちの娘(小4)も、どうもギフテッドらしいです。
maiさんは外国にお住まいなのですね?

日本でギフテッド教育(あるいはそれに近い教育)を受けられる学校はあるのでしょうか?
以前も似たような質問をしたことがありました・・・

以前のmaiさんの二番目の娘さんの様子、うちと似てるかもしれません。
扱いにくくて、性格が悪いんですよね、一見すると。
実際周りの友達からも嫌われいる、相手にされてない、という部分があると思います。

アスペルガーと診断された後、少しずつ自分自身の見方を変えてきました。娘も少しずつ気持ちも安定しているように見えます。

でも、それだけでは埋められない、何とも言いようのない気持ちがあるんです。

とりとめのない内容で、すみませんでした。

Posted by: もも | 2011年4月17日 01:05


うちの娘は、小学5年です。去年、4年の時に、学校の紹介で検査をして、書字障害の疑いが判りました。
IQ122で、短期記憶と集中力が少しな
いようです。授業も座って聞ける、対人関係も問題ない、学校の勉強も平均以上は出来ています。
そう言う状態なので、特別な支援はありません。

先生は、良く知ってられると思いますがIQの高さ故に凹みをカバーしてしまうのです。ところが、このカバーしているのは、あくまでも本人と家庭によるもので、学校側や廻りは、カバーしてて大変なんて全く判ってはもらえないです。

せっかく、検査していろんな事が判るって言っても、一斉授業では、無理なんでしょうね。

特別支援教育で、自閉傾向の広汎性発達障害のお子さんには、随分と理解が広まり支援学級などで学ぶ機会が増えてきたように感じます。でも、それは、コミュニケーションへのアプローチで、LDのみの子供への支援ではありません、うちの子供のように、中途半端な子供、取り出し支援する程でもない子供には、子供自身の工夫と家庭での支援でなんとか、授業に遅れないように、していくしかないのが現状です。

どこへ行っても、普通のお子さんの方法しか教えてもらえなし、彼女にあった方法は、彼女自身と親が見つけ出すしかないのが現状です。

でも、家庭と子供で持ち上げて行くのって、すごくシンドイのです。子供はすべて始めての事へ自分なりに考えて対処するので、神経も体力も人の倍使っているのか、学校から帰ると本当に疲れています。

親も人に教える知識なんてある訳ないのに、ネットで調べたり、身体使って覚えさせてみたり、試行錯誤な上に必ずしもぴったりと合う方法ばかりではないので、無駄な時間を使っていた事もしばしばあります。

せっかく、検査して凸凹が判っていても、それを利用してもらえる事は、ないのが、LDのみの子供達の現状ではないかと思うのです。

本当は、いろんな子供を接してる学校の先生方にもっと、いろんな学びへのアプローチを知って欲しい。そしてスキルを付けてもらいたいです。特に障害が目立つから支援してますでは、なく、人っては、みんな違うんだから、同じレベルまで目標を掲げるなら、個々のアプローチが必要で、それをするのが教育だって、そう言う考え方が皆出来る世の中ならいいのにって、思うこの頃です。


Posted by: mamamama | 2011年6月 5日 16:39


今日、DO-IT Japan 2011 小学生を募集中!の記事に気が付きました。
おとといが、申し込みの期日だったようですね。とても残念です。

去年、書字障害グレーの診断を受けました。毎日の漢字学習などとても大変ですが、大学へ行って自分の夢、建築デザイナーになる夢を叶えたいと思っています。

彼女が、大学へ真剣に行きたいと感じた、きっかけは、何気なく私が言った「適当に思った物使って建物建て、壊れないだったら地震あっても、つぶれないだろうし、壊れる建物なんて、ないんじゃない?そんなんだったら、誰でも建築デザイナーになれるわ。建物を作る為には、いろんな知識が必要で、それには建物の歴史もあるし、その土地の特性やら社会で習うような、いろんな事知っかないと、ただの絵だけで終わりやで。」って話した事がきっかけです。

でも、テストは書かないといけないし、高校入学も、建築家の試験もすべて自分で読んで、書く必要があります。そのために、苦手な漢字がんばってます。本当にがんばっています。

こんなの、あるんだよって話したら、「すごい~!!東大や~、もっと早く気づいてよ!!」と言われてしまいました。

来年、もし募集があったら申し込みしようかと思います。

Posted by: mamamamama | 2011年6月 5日 20:34


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