孟母(もうぼ)三遷(さんせん)とはいうけれど

あるお母さんから、発達障害の特別支援教育の進んだ米国に
子どもを留学させたいのだがというご相談がありました。
こうしたご質問、これまでにずいぶん受けてきました。
正直、渡米を勧める場合もあれば、勧めない場合もあります。

ふと、昔聞いた「孟母(もうぼ)三遷(さんせん)」という言葉が思い浮かびます。
この有名な教えは、孟子のお母さんが、はじめ墓地のそばに住んでいたのですが、
まだ小さい孟子がお葬式のまねばかりするので、市場近くに転居しました。
すると今度は、孟子が商人の駆け引きをまねるので、学校のそばに転居するのです。
すると学校で教えている礼儀作法を自然にまねるようになったという話です。

職業に貴賎なしですから、この教えに違和感をもつ方もいるかもしれません。
少なくとも吸収力のある子どもにとって、教育には環境が大切である
という教えなのですが、同時に、子どものために何度も転居した
孟子のお母さんをモデルとする教育熱心な母親の例えでもあるのです。

今も昔も、母親の子どもを想う気持ちに変わりはありません。
ご相談のお母様も現代の孟母というわけです。
しかし私が勧める場合もあれば、そうでない場合もあるといったのは、
その判断にあたっては、子どもを育てる安定した家庭環境と
長期的な進路の見通しが何よりも大切だということなのです。
家族としての選択条件は様々なので、それらを整理してからでないと、
この質問についてのお答えは簡単にはできないのです。

特に子どもが小さい時、子どもの教育のために家族がバラバラになったり、
家族のどなたかが大きな犠牲を払ったりするような場合、安易にはお勧めできません。
いわばそうした無理が、後から家族関係に大きな負担となることがあるからです。
小さな我慢の蓄積が、後々、大きな破たんを招くということは
決して珍しいことではありません。
子育ては、いろいろな意味で、
家族全体が安定した生活をおくることが基本条件なのです。

もちろん例外もあります。
昨年シアトルでお会いしたご家族は例外中の例外でした。
二人のお子さんの難病(御兄弟とも)の先端医療を求めて、ご家族で米国に移住し、
そこで治療を受けながら暮らしておられるご家族でした。
これなどは大変珍しいケースで、そのご夫婦の覚悟や決断は
誰でも真似できるものではありません。(つづく)

2011年7月13日 09:45 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

なる程家族のバランスが大切ですね

Posted by: 子育てママ | 2011年7月16日 14:04


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