ここに母あり

先日、見知らぬ方からどっさり地のジャコの乾物が送られてきた。
誰だっけとその名を記憶から呼び起こしていてはっと気がついた。

しばらく前に、ご相談したAさんのお母さんからだった。
Aさんは大学も卒業している外見的にはどこといって問題を感じることのない青年、
いやもう中年にさしかかろうとしているのだが、実は発達障害があって、
今は生活保護を受けながら必死に自立の道を探している。
家族とも絶縁状態で、実家を離れ一人都会のただなかで細々と生活しています。

荷のなかに彼のお母さんからの手紙があった。
『小さい頃から不器用な生き方しかできなくて・・・ 
 私はこの子のことが心配で心配で・・・』

家族のなかでもずっと孤立しがちで、今は一緒に住むこともかなわぬ彼にとって、
郷里に残る年老いた母親はたった一人の唯一、無二の理解者なのでしょう。
そんな母親に自分の近況を伝えた折りに私の名前が出たのかもしれない。

便せんに綴られる震える字に、子を思う母親の気持ちが滲んでいた。
私なぞたいした力にもなれぬのだが、手を離れ都会の片隅で自活している息子の
少しでも支援になればとの親心でした。

彼とて他の兄弟のように、母によいところを見せたいと
思い続けて生きてきたのではないのだろうか。
君がたとえ都会の片隅であっても、生きていること、時折お母さんに連絡すること、
それだけでもお母さんにとっては大切な生き甲斐となっているのだと思う。

お母さんを決して悲しませてはいけない。
不器用な君が今日も生き続ける姿こそ、
お母さんにとってはきっと嬉しいことなのだと思う。
ちょっとでも余裕ができたら、半日でいいから、
一時間でもいいから直接お母さんに会いに行きなさい。
お母さんは君の顔を見て、そっと君を抱きしめるだけで、
この子の母でよかったと思ってくれるよ。

僕はジャコの香りのなかに、君の優しいお母さんをいっぱい感じた。

2012年2月22日 09:37 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

私は、5歳の男の子の母です。
子供に突然、「鬼の嫌いなもの全部教えて」と言われ、検索していたところ偶然こちらのサイトを見つけました。

私の子供は昨年、アスペルガーと診断されました。
その後、ペアレントトレーニングを受け、それを元に保育園の先生方と何度も相談し温かい協力を頂き、今とても良い環境で子供は育っています。

先生のこのお話を読んで、涙があふれてきました。
何度もうなずきながら読みました。

先生のやさしい言葉の一つ一つが、本当は持っていてずっと奥に隠している不安でしょうがない気持ちに響きました。

この子らしく、この子の人生を一生懸命生きてくれたらそれだけでいい。

本当に大事なのはそれだけなんだ。わかっているのに。

焦ることない。これでいいんだ。と心が穏やかになりました。

Posted by: のりすけ | 2012年4月21日 10:58


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