発達障害をめぐって一言

先月のことでした。
大阪市の市議団から『家庭教育支援条例案』なる議員提案が予定されたのですが、なかに

「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因であると指摘され、また、それが虐待、非行、不登校、引きこもり等に深く関与していることに鑑み、その予防・防止をはかる」

という一文があり、結局、この条例案は白紙撤回されました。

条例案の前文の趣旨はうなずけます。
戦後、勤労階層が一気に増えてきて、地域コミュニティが壊れたことや、
家族の崩壊、家庭の崩壊等により、教育に多様な問題が起こったことは
誰しも認めるところだと思います。
しかし、そこから発達障害に関する話の展開には論理的飛躍がありすぎ、
多くの保護者の方を驚かせ、また誤解の多い内容に批判が集中しました。
(このブログでは、あまり政治的なことには深入りしないスタンスを守ってきましたが、
 この記事の中に、どうしても発達障害をきちんと理解して欲しいという意味から
 見過ごせないものがあるのであえて取り上げました。)

発達障害は『乳幼児期の愛着形成の不足』が原因になって起こるものではない
ということです。
発達障害は子ども自身の発達に要因があり、親の育て方の問題ではないのです。
ですから親の育て方によって発達障害が予防・防止可能なもののようにいうのも
明らかに間違っています。

実は、これと同様の誤解は、戦後早くから繰り返し起こっていました。
自閉症は、『親が愛情を持って接していないからだ』『テレビを見過ぎるからだ』等々。
しかし、そうした主張は、すでに科学的に否定されています。
保護者も教師も、発達障害の子どもに関わる者は、どう考え、対応すべきか。
「子どもの状態を正確に知る」ということが、科学的な理解・対応の第一歩です。

もし、発達障害だと分かれば、それぞれの状態に合った支援や治療が必要です。
例えば、LDならば認知的なバランスの悪さによる学びにくさがあり、
自閉症ならば対人的なコミュニケーションの問題による学びにくさがあり、
ADHDならば、行動的に注意力が欠けたり、
衝動的になりやすいという課題による学びにくさがあります。
そういう部分を理解し、対応を図るわけです。

親を責めるのではなく、子どもの状態や背景を科学的に見通し、
医学や福祉等の諸機関と連携しながら本人も親もしっかり支えることで
より良い改善が図られるのです。

2012年6月13日 10:11 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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