レスパイト・サービスについて

前回の切実なご相談のことが頭から離れません。
私がまだ大学にいた頃のことですが、発達障害のある子どもたちを
土曜日に集めて「土曜教室」という臨床指導をしていました。
年に1回、3泊位のお泊り合宿もしました。
そんな行事をしていた頃の話です。

早朝、大学の正門にバスをチャーターし、指導を手伝う学生たちと
子どもを保護者から受け取り、「行ってきまーす」と元気よく出発しました。
何日かして大学に帰りつき、久しぶりの親子の対面、
そして引き渡しという恒例のスケジュールでした。

すべてが終わってほっとした私に、守衛のおじさんが
「先生も大変だね。
 バスが出ていったら『あーあ、清々した』なんて言っていたお母さんがいましたよ」
といわれたのです。
今風ならチクリというやつですが、私はいつもがんばっているお母さんに
ほんの一時でも心が休まる時間を作ってあげられたとすれば
それもよかったなと思いました。

というのは、特別支援学校が十分に整備されていなかった時代に、
学校に来ることのできない重度の障害児の家庭を先生が訪問するという制度があり、
その手伝いをしていました。
そうしたある家庭を訪問した時、そこのお母さんが
子どもを置いて旅行一つしたことがないという話を聞きました。
子どものためにすべてを我慢し、子どもに尽くすことが当たり前であり、
美徳とされていた時代だったのです。

その後、障害のある人とその家族が安心してゆったりとした生活を送るためには、
時々、障害のある人を一時的に預かる支援サービスが必要だという、
きわめて自然で人間的な考え方が出てきました。
そうした支援をレスパイトサービスといいます。
ふだん頑張っているお母さんを、たまには解放し、
自由に自分の好きなことをする時間等を補償してあげるほうが、
子どもとの質の高い時間を持てるという考えです。

嘆いたり、愚痴を言ったり、そんな弱いお母さんの姿はむしろ自然です。
そんなお母さんを周りが分かってあげることが一番必要な支援なのかもしれません。

2012年10月17日 09:31 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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