中学生のお母さんからのご相談

ご相談は皆さんにもわかりやすくお答えする関係で、
多少変えてあることをお断りしておきます。
でも、今回のご相談は読めば読むほど伝わってきますので、
少し長いのですができるだけそのまま載せました。
対話形式でお答えしてみました。
Mはお母さん、Kは私です。

M:つい最近、中1の娘がどうやらディスレクシアであることがわかり、じたばたしている母親です。板書は綺麗にとれますが成績はオール2、提出物もギリギリ頑張って、頑張ってこの成績です。娘は元気がなくなり、食欲が落ち随分やせてしまいました。下痢と便秘を繰り返すなど、心因性とおもわれる体調不良があらわれ、注意深く様子を見ながら、あれこれ調べました。「気づき」から2ヶ月、やっと心理検査にこぎつけました。

K:大変でしたね。きっとお嬢さん自身、つらい思いをされてきたと思います。
でもお母さんが理解しておられることは、とっても良かったと思います。
小さいころからのご様子をお聞かせいただけますか。


M:小3くらいまでは勉強は平均的。運動神経抜群で、絵を描くことが好き。繰り上がりの計算の習熟に時間がかかり、気がかりでしたが、九九は難なく覚え一安心でした。数字のパズル等は得意で、エンジニアの父や理系大学生の兄よりも早い程でした。9才頃から得意不得意の差が大きくなりだし、まず音読を面倒くさがるようになりました。覚えたはずの漢字が読めないからでした。

K:知的発達に遅れがない発達障害の場合、
得意、不得意が混在するという特徴があります。
でも出来ることがあるので、かえって不思議な印象がしますし、
なぜ出来ないのか理解してもらえないことも多いのです。


M:塾に行くのを嫌がり勉強は私が見ていました。漢字を覚えても時間が経つと、うそのように忘れてしまうので、長期休みには低学年からの復習を繰り返しやりましたが新出漢字に追いつけず差が開く一方でした。漢字はその字の成り立ちから教えたりしました。LDのことは知らなかったので、つい、「なぜそんなにやる気がないの?」「歌は一度聴いたらすぐ覚えられるんだから、漢字もその調子で練習すれば覚えられるでしょ?」といったり、つい「あんたのせいで頭がおかしくなりそう」と、責めたりもしました。

K:お嬢さん自身、出来ないことにいら立ち、
そんな姿を仲間にも見せたくなくて、塾もいやがったのかもしれませんね。


M:体育でのマラソンも「ただ走るだけなんて、面白くない。」と、完走しても中位か、途中棄権してしまいます。小さいころから逆立ちやブリッジが大好きなので、喜んで始めた器械体操も、強化チームに入った途端、「怖い、行きたくない」と云い出し、ひどい爪かみが始まったので退会しました。得意なことを伸ばしてあげたくて、スポーツなどいろいろ試しましたが、強制されるのが嫌いで、興味ないものはやらない」というのが特徴でした。

K:お子さんにもプライドがあるので、ただ厳しく繰り返しを求められると、
得意なことでも嫌がることがあります。
努力不足や、なまけと受け取られてしまいがちなんですね。


M:小学校の先生にも相談しましたが「ルールが守れて友達にも優しい。委員会も率先してこなす。運動神経も良いし、むしろ優等生です。勉強は、本人に欲が出ればすぐに追いつきますよ」といわれました。小学5、6年になり学力テストの結果が著しく平均を下回りだしました。6年生の時、担任の先生から「このままでは中学に行って勉強でかなり苦労するでしょう。」といわれました。

K:きっと先生も、お嬢さんのそうした姿の原因が
よくわからなかったのではと思います。
最近はLDなどについて、先生方の理解が進んできましたが、
これまでは決して珍しいことではありませんでした。


M:中学校での生活は娘にとって想像以上に過酷なものでした。定期テストは、理解していることでも答案が読めずに苦戦。社会や理科も漢字が書けないと点には結びつきません。
数学は文章問題が全くだめ。小さいとき習った英会話も聴いて覚えるのはよいのですが、筆記の勉強が始まった途端 「読めない、書けない」で先に進めないのでやめてしまいました。ラジオの基礎英語を毎日聞くようにしています。耳がよいのか、上手にフレーズをリピートしますが、5文字以上の綴りの単語は壊滅的です。今では「やればできるよ!」と、はげまし続けるのはかわいそうになりました。

K:お母さんが気づかれている、LDの典型的なタイプ、
ディスレクシア(読み書き障害)の特徴が見えますね。


M:やがて「学校やだな」がはじまり、わたしもほんとうに娘の状態をきちんと理解し、適切な手助けをしようと専門家に相談しようと動き出しました。勇気を出して学校の先生に「娘はディスレクシアのようです。今度専門的な診断を受ける予定です」と話すと、担任は開口一番、「娘さんよりも、問題がある子がいるんです。お子さんは、勉強以外は何の問題もありません」でした。

K:お母さんの気持ちも伝わらなかったのですね。


M:がっかりしました。でも唯一、学校のカウンセラーの先生が娘の苦しみや頑張りを理解しくれ、「いままで良くがんばったね。何時でも話しに来てね」と言ってくれて、なんとか不登校にはならずにきましたが、授業中の叱責や無理な宿題も多く、勉強は大変になるだけで、娘はついに「死にたい」ともらしだしました。
この冬休みも、正月返上で毎日真夜中まで課題に取り組みました。でも、まだ終わらず毎日睡眠不足です。新学期が始まり、途中までしかできなかった課題を提出しようとした娘は、「課題が最後まで終わらない人は部活参加禁止」と、先生からではなく課題回収を命ぜられた学級委員の同級生に言われたそうです。酷すぎます!!
もう一度学校に行って、担任や校長と話をしようと思っていますが、感情的にならないように、娘の為に最善の行動をとってやりたいと思います・・・・ どのように先生方と話したらよいのか、これからどのように親として行動すればよいのかアドバイスください。

K:お嬢さんにとって、一番身近なお母さんが
なぜできないのか一緒に考えてくれるということは大切なことで、
何よりも心の支えになっていると思います。
LDは出来不出来の差の目立つ強い個性があると考えるべきです。
最近はこうした生徒についての理解も進みだしましたが、
先生の中には、なぜ出来ないんだ、努力が足りない、
というとらえ方は意外と多く、そのことが子どもを苦しめます。
現在の学校では、こうした生徒の対応の窓口になる
「特別支援教育コーディネーター」という役割の先生を置くことになっています。
保健室の先生(養護教諭)などがこうした役割を担っている場合もあります。
このようなケースについて少しでも理解のある先生を探すことも大切です。
しかもこれらのことは校長の責務という言葉を文科省は使っています。
理解ある先生を探すと同時に、このケースのように専門的な相談を
できるだけ早くしたほうがいいですね。
学校や先生の無理解をただ責めても事態は好転しません。
できれば学校側とそうした情報を共有できるとよいのですが。
ともすると「親が子ども可愛さに勝手なことを言っている」
「クレーマー的な保護者」といった受け取られ方はつらいものです。
なかには「そんな育て方だからこうなった」といわれることすらあります。
私が今一番言いたいのは、この子どものために、親として、進路などを含め、
今何をすべきか、客観的に、冷静に考えたい。
できれば先生方も一緒に考えてほしいということです。
何よりも、誰よりも、親が子どもの理解者であることが、
子どもにとって最後の砦なのです。
そして、今の勉強をどうするという視点から、残された時間の中で、
どのような道がこの子どもにとってより可能性があるかを一緒に探そうとすることです。
そのためには出来ないことを出来るようにする努力だけでなく、
得意なことや、出来ること、出来たことはなにか。
それに結びつく生きる道は何か。
言うほど簡単ではありませんが、一緒に添って考えていくということが
一番の近道だと思います。

2013年2月 6日 09:09 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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