T君がんばれ!

発達相談や教育相談をしていると、ひとつ山を越すと、また次の困難に出会うということがよくあります。
富士山じゃなくて、八ヶ岳連峰だねと思うことがあります。
そうしたなか、私の教え子が心理担当だったケースでうれしいニュースがあり、皆さんにどうしてもお知らせしたかったのです。

T君はやや弱々しく、勉強となると消極的で歯がゆい思いのするお子さんです。
ただ友達関係はよく、みんなからも受け入れられている2年生の男の子です。
家では、なんでもよくできるお兄さんに比べ成績がおもうように伸びず、すっかり自信をなくし、心理検査が終わった時、「ぼくはバカだって知っているよ」なんて口走り、心理担当がびっくりしたそうです。
お母さんからは何とかしたいと必死な思いが伝わってきます。

心理検査をとってはじめてわかったのですが、知能は決して低くありません。
知的にはそんなに低くはなく、言語を扱う知能はむしろ平均よりも高く、言葉の知識や考える力はあるのですが、形を捉えたり、イメージしたりする力がやや弱く、手先も多少不器用な、認知のバランスの悪さに特徴のある典型的なLDと呼ぶのがふさわしい子でした。

小学校2年生で、自分のことをそんな言葉で表現したり、検査のやり取りで答える言葉の端々からは知的に低いという印象は受けませんでした。
心理検査は普段の勉強と違って、できなくても意識させずに力を出させるせいか、子どもはすぐに「この勉強は楽しい」などと思うようです。
心の内側を見るために、絵なども描いてもらいます。

検査の途中で、子どもの「ぼくはバカだって知っているよ」の言葉に、「あなたは絶対バカじゃないよ」とだけ伝えるとびっくりした顔をしてたそうです。
休憩後、検査の続きをとりましたが、「僕、普通だよ」と笑顔でとんできたそうで、その態度のちがいが印象的でした。

週末に、再び学校を訪れました。
すると担任の先生から呼び止められ、「テストにしっかり取り組むようになったんですよ」といわれました。
ある小テストの結果を返すと本人は、「見て、100点。ほら、僕、中だよ」と飛んできました。
先生は「中?」、T君「上中下の中だよ」と言うので、すかさず、「中じゃないかもしれないよ、中よりもっといいんじゃないかなあ」と言ったら、「そう? そうかもしれない」と胸を張って、「もっとがんばってみよう」と言ったそうです。

それまで教室では何もしていない姿しか見たことがありませんでした。
心理検査もはじめは、ぼーっとしているかうなだれていました。
励まし励まし検査を取り終えたのですが、検査後は、顔が前を向くようになって、表情が変わったと感じました。

その後、教室にも行ってみましたが、積極的に手をあげて発言したり、友達と笑顔で話している様子が見られました。
これまで、見に行くたびに、うなだれていた顔が、上に上にあがっていき、背筋も伸びて、その変化の速さと大きさは目を見張るものがありました。
心のもち方だけでこんなに変わる子は珍しいので、ほんとうに驚いたそうです。
思い込みの強いお子さんということもあったのでしょうが、自信と意欲の力は強いとつくづく教えられました。

先日保護者面談をしました。
お母さんもその変化に驚いておられました。
お母さんからは、塾に通わせているのですが、量が多くやりきれないことを聞きました。つい「なんでできないのと」と励ますつもりで言ってしまったこともあったそうです。
そんなことが自分はバカだと思う一因になっていたのではないかとおっしゃっておられました。

心理検査の結果をお伝えし、わかりやすくお子さんの力や気持ちについてお話ししたところ、お母様の不安もだいぶ解消されたようで、一緒に見守る方向でいくと話されたそうです。

T君がんばれ!

2013年12月11日 08:41 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

4月から中学2年の女児の支援に関するご相談です。
昨年9月のテスト結果が非常に悪く、勉強に関して色々と話を聞くうちにディスレクシアを疑い、療育センター受診。
そこで軽度精神遅滞、広汎性発達障害の診断。(この時点で、嘔吐下痢頭痛が頻繁になり登校が出来なくなってしまった、手帳は認定外となりました)
DRは視覚に関する問題も発達障害からきているとの見解だったが、眼科への紹介状をもらい受診。
視野が通常の1/3程度(成長時期なので障害者手帳はまだ無理と市より言われた)、ディスレクシアの詳しい検査待ち。今まで勉強は苦手意識が強かったのですが、通信簿は3から4を取ってきており勉強の仕方さえ工夫すればと思っていました。しかしながら、精神的なダメージが大きく、市の不登校児登校の教室な通う日々です。そこでの指導はとても手厚く、感謝しております。
しかし、昨日頂いた学校の成績表は『1』ばかり。登校出来ていないので仕方ないのですが、録音・録画機材の持ち込み、加配の先生配置などこちらからの提案が全て断られ、学校としては厄介者を受け入れられない姿勢が見え見え。こんな環境では娘が精神的に落ち着いて取り組めないことはよく分かっています。ならば、相談教室での活動の評価や、個別にテストを受けられる体制や、少しは支援を必要としている生徒に配慮をしても良いのではと怒り、悲しみ、虚しさでいっぱいになりました。
今の教育システムはこんなものなのでしょうか?それとも、居住している市の体制の悪さ? 教育委員会も、支援級への転籍手続きを勧めてきており、しばらくは相談教室登校との判断。このままでは、高校への進学へ大きく影響してくる状態です。娘も、今の学校には戻りたくないが、勉強はしたい!!と意思はあるのです。この半年、何をどうすればよいのか、相談先にも明確な返事は頂けず、このまま時間が流れていくのかと不安な毎日です。どうするのが、娘に良いのか・・・どうか、助けてください。

Posted by: あっぷるぱい | 2014年3月26日 16:32


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