Q&Aから これが現実の姿なのか

2回にわたって、今大きく変わりつつある特別支援教育の転換についてお話ししました。
しかし、転換期であって、現実には、本人と保護者にたいして、学校はまだ十分に対応しきれているわけではありません。 
中学2年になったばかりの一人の女生徒の保護者からの切実なご相談を紹介しましょう。

Q: 1年生の秋のテスト結果が非常に悪く、勉強に関していろいろと話を聞くうちにディスレクシア(読字障害)を疑い、医療機関で受診しました。
結果は、軽度知的障害、広汎性発達障害の診断。
本人は、嘔吐、下痢、頭痛が頻繁になり登校が出来なくなってしまいました。

医師は、視覚に関する問題も発達障害からきていると診断、眼科への紹介状をもらい受診し、 視野が通常の1/3程度の診断(成長時期なので、今後変化する可能性があり障害者手帳はまだ無理と市より言われました)。
現在、ディスレクシアの詳しい検査待ちです。
今まで勉強は苦手意識が強かったのですが、通信簿は3から4を取ってきており勉強の仕方さえ工夫すればと思っていました。
しかしながら、精神的なダメージが大きく、市の不登校児登校の教室な通う日々です。
そこでの指導はとても手厚く、感謝しております。

しかし、昨日頂いた学校の成績表は『1』ばかり。
登校出来ていないので仕方ないのですが、録音・録画機材の持ち込み、加配の先生配置など、こちらからの提案が全て断られ、学校としては厄介者を受け入れられない姿勢が見え見え。
こんな環境では娘が精神的に落ち着いて取り組めないことはよく分かっています。
ならば、相談教室での活動の評価や、個別にテストを受けられる体制や、少しは支援を必要としている生徒に配慮をしても良いのではと怒り、悲しみ、虚しさでいっぱいになりました。
今の教育システムはこんなものなのでしょうか?
それとも、居住している市の体制の悪さ?
教育委員会も、支援級への転籍手続きを勧めてきており、しばらくは相談教室登校との判断。
このままでは、高校への進学へ大きく影響してくる状態です。
娘も、今の学校には戻りたくないが、勉強はしたい!!と意思はあるのです。
これから受験までの間、何をどうすればよいのか、相談先にも明確な返事は頂けず、このまま時間が流れていくのかと不安な毎日です。
どうするのが、娘に良いのか・・・どうか、助けてください。

A: 就学前、小学校の状態、さらにこのご相談にある勉強の状態にも差があり、子どもさんの発達の状態の把握は、親御さんにも十分つかめてない気もします。
特に、医師の知的障害という診断はどのように受け止めておられるのでしょうか。
読みに問題のあるディスレクシア(LDのなかで一番多いタイプ)を疑っておられますが、それが知的な発達の遅れからくる学習の困難なのか、認知の特異性からくるLDなのかの判断は、アプローチにも違いがあるので専門的判断が必要です。

少なくともこうしたお子さんの支援は、小学校低・中学年で顕在化してくるはずなので、中学まで気づかなかったとすれば、周囲の無理解のなかで、このお子さん自身が一番苦しんだはずです。

前回、「本人の状態、支援の内容、その地域の教育体制、そして専門家の意見など、さまざまな条件や情報を共有し、総合的に判断したうえで合意し、責任ある形で決定していくという手順が求められます。」と書きました。
これらを明らかにすることは、学校と保護者の両方に求められています。

お子さんが、やがて親から自立し、社会参加していくには、これからするべきことがたくさんあります。
親の夢や期待だけでなく、お子さんの状態、何ができて何がうまくいっていないのか、きちんと見るところから始まります。
私はこうしたとき、「お子さんが得意なこと、自信を持ってする好きなことはなんですか」という質問から始めます。
ここまで育ってきたということは立派な成長です。
先を焦る気持ちは分かりますが、今、お子さんに何が起こり、どんな状態かを、きちんと把握しなければなりません。
生理的反応や不登校は、お子さんの心の叫びなのです。

2014年4月30日 08:57 | | コメントを読む (2) | コメントを書く


コメント

こんにちは、上野先生

中学女生徒さんのお母様のお話を読んで、私も思うことがありメールさせて頂きました。
二男は3年生になります。入学前に長男とちょっと違うかも?と思い療育センターへ入学前の半年だけ通いました。入学前に通級指導もお願いして運よく空きがあり通うことが出来ました。LDとわかったのは1年生の夏休み検査をしてわかりました。
本人にはまだLDということは伝えていません。ひらがなカタカナの混乱と漢字を覚えても、忘れてしまうの繰り返しです。音読の飛ばし読み、勝手読みもあります。詩のようなリズムのある音読は覚えてしまいます。
学校の先生方もLD(二男)のことは理解してくれていますが、テストとときなど、問題の文章を理解出来ず、間違った答えを書いてしまう。誤字があればもちろんバツ、耳から聞いたら理解出来るのですが・・そんな配慮はなく・・海外ではテスト時間の延長などあると本で読んだことがあります。
日本の中学校や高校は、海外のような配慮のある学校はありますか?安易に海外に行けばどうにかなるとは思っていませんが、日本の学校に配慮がなければ・・と思ってしまいます。

中学女生徒さんのお母様のお話を読む限り、中学女生徒さんの対する配慮がなく、
学校に対しての不信感ばかりが募ります。

本人と保護者の意思の尊重は基本的事項といいますが、勉強が皆と同じように出来なければ、子供の夢や希望は、排除されてしまいます。


Posted by: 小学男子 | 2014年4月30日 18:13


上野先生、ご回答ありがとうございました。
ディスレクシア疑いの中学2年の女児の母親です。先日、視覚認知検査の結果を頂きました。視覚認知の弱さが顕著であり引き続きその件については眼科受診。そして、ディスレクシアの病院への紹介をしていただく事になりました。
支援級の見学もしたのですが、娘への指導は難しいと判断を私と娘が下し通常級在籍のまま、
支援の体制を考えながら学校と調整を行っていくことになりました。校長、担任と先生が変わり、学校との距離感が縮まり意見交換会も機会を作って頂け、娘に取り一番良い状態での教育の支援体制を今後、検討していく予定です。
娘が今まで、親も気づかないくらいに普通で生活できていたのは、本人の努力と工夫があっての事だと思っています。だからこそ、今、娘が望む教育の支援体制を与えてやりたいと強く思っております。娘は、全盲の方との出会いで
自分に今出来る事を大切に、一歩づつ、前に進み、自分と同じような子供の為に指導出来る大人になりたいとの意志の上、勉強したいと言っております。

Posted by: 中学女生徒 | 2014年5月 6日 22:40


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