ふたつのR

四半世紀も前のことになりますが、当時、文部省には在外研究員という制度があり、国立大学の教員は、応募によって、1年間海外で学ぶことができました。
私は、学習障害のことについてもっと詳しく知りたいと思い、NYの特別教育研究所、コロラド大学、サンフランシスコのラングレー・ポーター医療研究所等を数か月ずつ回って、大勢の方々から貴重な情報を得るチャンスに恵まれました。
それが帰国後、わが国でのLD学会の発展やLDやADHD等、発達障害の教育システムを作るうえでも大いに役立ちました。

その米国生活のなかで、学問的なこととは別に、私は二つの大切なRの付く言葉を学びました。
今月はそのふたつのRにまつわる話をします。

ひとつはリスペクト(respect)で、もうひとつはリーズナブル(reasonable)です。

リスペクトというのは、人間として相手を尊重する、敬意を表するという意味ですが、コミュニケーションが不十分な環境にあって、人と付き合う際に、お互いにどれだけ尊重し合えるかという経験から学びました。

肩書や評判などではなく、実際に何を考え、どういう熱意を持っているかを相手に伝える努力が評価されるということです。
あらゆる手段を使って、相手にぶつかっていくことで、心と心の触れ合う友人を得ることにつながりましたし、言葉を超える深い理解が得られたように思います。
反対に、心が足りないとすぐに飽きられ浅い付き合いに終わってしまうということも学びました。

もうひとつのリーズナブルというのは、できるだけ合理的にものを考えるということです。
合理的というと冷たい、功利的な感じもしなくもありませんが、本質にあった、間尺にあった考え方が人間理解の基本だということです。
そのためには相手の立場や気持ちを十分に理解することがその前提となります。
その上で率直で誠実な交流が成立するのです。

言葉にしてみると、ありきたりな気もしますが、このふたつのRは言語や文化を超えて人を理解するとともに、自分を理解してもらうための基本的な考え方なのです。
それは仕事でも、子どもとの臨床活動でも、私自身の生きるということの本質にも通じることです。
最近、このふたつのRを、さまざまな場面で頻繁に目にするようになりました。
今月は、このふたつのRからなにが学べるかをご一緒に考えてみたいと思います。

2014年10月 1日 10:54 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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