発達障害のアセスメント

2010年12月、世界的な知能検査WISC-IVの日本版が完成しました。
私は長くこれらの検査に関わり、刊行委員会の代表も務めています。
この検査に関連する翻訳も私にとって大事な仕事なのですが、さらにこれらの検査を用いて、実際に子どもの知的発達の状態や認知の特徴をつかんで指導に役立つ所見を書くことは、心理学を生業としてきた私の役目であり、私流の子どもへのアプローチなのです。
 
現在いくつかの地域で、専門委員として子どもと関わってきていますが、こうした心理検査結果もひとつの情報として活用しています。
今月、この新しい心理検査を用いた事例モデル集が完成します。

「日本版WISC-IVによる発達障害のアセスメント―代表的な指標パターンの解釈とケースレポート―」(日本文化科学社)

私の東京学芸大学での同輩である松田修さん、渋谷区で私と共に専門委員会で心理の仕事をしてきた木下智子さん、長く私の臨床のパートナーを務めてきた小林玄さんと4人の共同執筆の本です。
私にとって、この本はひとつの集大成であり、私自身にとって心理アセスメントのバイブルと呼べるものでもあるのです。

そのまえがきからの紹介です。

『原版WISC-IVは2003年に発刊され、7年後の2010年に日本版が標準化され出版されました。本書はその日本版WISV-IVを使用した最初のアセスメント解釈事例集です。(中略)

過去のウェクスラー知能検査類と比べ、WISC-IVは大きく発展し、その装いも内容も一新しました。本書では、原版ではすでに実用化されている新指標であり、日本版でも「WISC-IV実施・採点・解釈のための補助マニュアル」(2014)で、初めてその換算表が紹介された指標、GAI(一般知的能力指標)、CPI(認知熟達度指標)も、その解釈に加えています。

現在、知能検査は単なる知的発達水準の推定だけでなく、学習困難の背景にある認知のスタイルや知能の個人内差についての研究が進んできています。それらの究極の目標は、単なる状態把握から、支援介入のための具体的な手がかりの模索ではないでしょうか。かねてより、「支援は利用しやすく、効果があって初めて支援の名に値する」と心に刻んできました。このことは心理アセスメントにとっても当てはまります。アセスメントは検査者や受検者にとって利用しやすく、その結果を受検者の理解と支援のために役立ててこそアセスメントの目的は果たされるのです。

今日のさまざまな心理アセスメントのベクトルは、すべてこの方向を目指しています。本書はそうした目的のための方向づけであり、科学的なエヴィデンス集積の第一歩なのです。「日本版WISC-IVによる発達障害のアセスメント」は単なる事例を集めた解釈集ではなく、事例に基づく日本版WISC-IVの解釈の基本モデルを示したいという科学的なクールな思いと、この検査結果を発達障害のある児童生徒の支援介入に是非活かしたいという実践的なホットな思いの両方がそこにはあります。(後略)』

今まとめあげた解放感に浸っているところです。

2014年12月10日 09:55 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

 カズ先生、こんばんは。先日は、福岡でのS.E.N.S更新研修、お世話になりました。先生のお話を聞いて、とても元気をいただきました。「日本版WISC-IVによる発達障害のアセスメント」の発売、待ち望んでいます。進化していくWISC-Ⅳ、しっかり勉強して、子どもたちへの支援に生かしていきます。今月の25日には、宮崎までお越しいただけるとのこと、とても楽しみです。

Posted by: まっちゃん | 2014年12月12日 23:02


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