知能検査はどんな時必要か

ご相談のなかで、知能検査を受けることをすすめられたが、本当に受ける必要があるのかとどうかと疑問を投げかけられることがあるのでお答えします。

私は、大学、大学院で発達心理学や臨床心理学を専攻してきました。
発達にさまざまな特徴を示す子どもの場合、その知的発達状態を正確、客観的に知りたい、特にその子どものより効果的な支援の手立てを探そうと思えばそれが唯一の科学的手段でした。
そこで長く知的発達(広く認知の発達ともいえます)に関するそうした発達検査類の開発に従事してきました。

現在、世界で最も信頼されて、広く使われているウェクスラー式知能検査(幼児、児童、成人など人間の発達にそって各種の検査が開発されており、それらを総称してウェクスラー検査ファミリーともいわれます。)の日本版作成チームの仕事を続けています。
こうした検査は100年以上もの歴史があるのですが、その間に大きな進化を遂げてきています。
最初は知的発達の遅れがどの程度かを判定するのが主な役目だったのですが、私が関わるようになった40年ぐらい前からはLD(学習障害)の登場に合わせ、集団の中でどの程度の位置にあるか(個人間の差)から、その子ども自身の発達にどのような特徴があるのか(個人内の差)のアセスメントが重要視されるようになってきました。

そして現在は、知的発達の特徴を示す場合にも、その子どもによってどのようなやり方が得意なのか、不得意なのか、そのプロセスまで明らかにしようとしています。
それは学習の仕方にもその子ども特有の特徴があるかどうかまで明らかにしようとするものです。
こうした検査類は、子どもの集団からのズレを見るという目的だけでなく、その子ども自身がどのような学び方を得意不得意にしているか、そのことが学習にどのように影響しているかをできるだけはっきり知ろうとしているわけです。
検査によって学び方の特徴が分かることもあれば、知的な発達面ではなく他のことが原因になっているのではないかということを明らかにする場合もあります。

このように検査は子どもを支援するための最適な方法を知るためのひとつの道具であって、それによって子どもを苦しめたり、不利な状況に追い込んだりするものではないということです。
心理学の専門家は、発達に何か原因がありそうな場合は、それが何かを推定していくためのひとつの道具としてアセスメントするわけです。

2015年8月26日 10:30 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

カズ先生こんにちわ
発達性読み書き障害を持つ親です。
前回のコメントにもありましたように、親にとって学校との交渉ごとは非常にストレスが大きいことだと思っています。さらに子供にも受験期は否応なく訪れ、入試配慮をどう申請するかはさらに頭が痛いところだと思っております。先生は入試センターでもお仕事をされておりますのでお聞きしたいのですが、申請の際には学校での実績が必要であるといいます。しかし実績を作ろうとしない学校も多いと聞きます。この場合、学校以外での実績、例えば塾とか大学などの研究室で実績があれば申請できるということはあり得るのでしょうか(もちろん診断があってのことですが)。来年からは法律も試行されるのですが、理解のない学校との交渉に時間を割くのは不毛だと思うのです。

Posted by: こころ | 2015年8月26日 19:44


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