本年の終わりに

 本年最後になりました。
 LD(学習障害)、ADHD(注意欠如多動性障害)、そしてASD(自閉スペクトラム障害)など、いわゆる発達障害のある子どもを中心に、このコーナを担当してきました。
私自身、この課題に取り組んで、はや半世紀、まるでコンクリートの壁を前にして、そうした子どもたちや保護者の方々と何とか理解と支援の風穴を空けられないものかと悪戦苦闘してきました。

 ただ、その道も、1990年の文部省(現文部科学省)での公式なLD教育の検討の開始、2005年の発達障害者支援法の施行、2010年度からの大学センター試験における発達障害者区分の導入、そして来年、4月の"障害者差別解消法"の施行と、加速度をつけて発展してきたと思います。
 そのことをただ喜ぶだけでなく、「支援やサービスは、本人や保護者にとって利用しやすく、効果のあるものでなくてはならない」を合言葉に、さらなる成熟のための努力をしていかなければなりません。
 というのも、先日、おそらく何らかの発達の問題を抱えながら成人になった方から、こんなお手紙をいただきました。


 「初めまして。LDについてですが、大人になって、最近、もしかしたら?と思い、どこで検査を受ければいいのか分かりません。
脳外科、心療内科なのでしょうか? 
 小学校入学前の知能テストでは問題はなかったのですが、入学してから学習の遅れなどから、二度ほど知能テストを受けました。が、中学校では通常のクラスでした。
 しかし、小学校からすでに計算などの記憶力、理解力は悪く、大人になり、働きだしてから、改めて、なかなか仕事が覚えられない、すぐ忘れてしまう、暗算ができない、ミスが多いなどで怒られ、委縮して、また失敗する、の繰り返しです。
 職場の人とも上手くいきません。
 「あなたはおかしい、変なおばさん」とも言われました。
 働くことが難しく、苦痛で生きていくのが辛いです」


【カズ先生のご返事】
 LDという診断名は、学校時代、特に小学校などでは大切です。早期の対応という意味で、です。先生方も、ここ10年、やっと理解される方が多くなってきましたし、その支援も一気に充実してきました。おそらくあなたの育った時代には、まだ理解が浸透しておらず、知能にはあまり問題はないのに、なぜ勉強面でつまづくのだろうと思われ、苦労されたことと思います。

 これからLDという診断を受けて理解を求めるよりも、ここまで何とかやってこられたあなたの力、頑張りに私はまず拍手したいと思います。
 だからこそ「これが私なんだ」と居直ることもあっていいと思います。と同時に、失敗に対しては、どうすればそれが減るかを自分で工夫する習慣も大切です。
 忘れやすいなら、メモ用紙をいつも携帯するとか、大切な約束は壁に貼っておくとか。手順をただ頭で考えるのでなく、図などを用いて何度も確認するとか、実は私自身、こうしたことをいつも考えています。

 家を出るときは、演歌のタイトルのような「酒とキス」という呪文を唱えます。
「さいふ(財布)、けいたい(携帯・大切なこと)。とけい(時計)。キー(鍵)、スイカ(SUICA)」の頭文字です。
 もうひとつ、家族でも友達でもあなたと理解できる人を大切にすることです。
 あるいは、LDの親の会などを見つけ、仕事の合間に、その活動を手伝うというのも良いかも。
 あなたを誰よりも理解してくれるだけでなく、あなたと同じ苦しみを背負った子どもたちをあなた自身が支援することができます。

 人間、自信を持ち始めると、職場での人間関係も変化してくるものです。
子ども達には「友達100人作らなくていいから、たった一人でも気の合う仲間を見つけなさい」と言ったりします。
 少し元気が出ましたか。
 よろしければ、私がまず、あなたの友達の一人と考えてください。

2015年12月16日 10:00 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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