Q&A

 今回は読者の皆さんからのご質問の中から、ご一緒に考えたいものについて、私からのお返事も交えながら紹介します。
(個人情報としての守秘義務がありますので一部変更してあります。)


 「私の息子は小学校の低学年から草花や樹木に興味があり、植物の本を読むのがとても好きでした。高校生になった今ではかなりの知識を蓄えており、周りの大人も舌を巻く程で、本人も将来、この分野に進みたいと望んでいます。

 最近、"生物分類技能検定" という民間の試験があることを知りました。早速、教本を取り寄せ勉強を始め、試験の申し込みをしようと思い、詳細を調べましたら、受験すること自体に以下の様な問題がある事に気づきました。

 1.受験会場が都内の大学で、教室には本人しか入室出来ないこと。(試験中に声を出してしまう事が考えられるので、出来れば誰かが側にいて静かに受けるよう注意をしたい。)

 2.受験時間が2時間と長時間なので、途中で休憩を入れるか、時間の延長を認めてほしい。(やはり集中力が切れてきたり、緊張したりすると色々独り言を発してしまう可能性があります。)

 3.在籍している学校でも、主催協会の了承があれば、学校での受験も可能だと聞きましたが、実際は余り聞いた事のない試験のため、受験者は息子1人しかいないため、学校での開催は無理そうなこと。
(1と2について、主催協会に問い合わせを致しましたが、現時点では息子の状態に配慮して、試験を受けさせるのは無理だと言われました。)」


【カズ先生より】
 様々な試験における発達障害のある方への配慮は、大きく変化してきています。私自身、世界30か国以上で実施されている"日本語能力試験"や"大学センター試験"などにも関係しており、その導入・進展ぶりは肌で感じています。
 こうした広がりは2016年4月に予定されている「障害者差別解消法」の施行とともに一層広がっていくと思います。

 このような方々への配慮については、(1)障害によって発揮されにくくなっている本人の本来の力が、具体的配慮によって発揮されることが明らかであること。(2)そうした配慮が、他の受験生に対しても公平性を著しく欠かないこと。(3)配慮が、経済的な面も含めて、実施可能な範囲にあることなど、何でも認められるわけではなく、試験する側、受ける側の両方がよく理解しておかなければならないことがあります。

 これらの配慮は合理的配慮と呼ばれます。実施する側が公的な機関や組織(学校も含まれる)の場合では、法的義務と考えられる部分が多いのですが、民間の事業者の場合は差別が許されることはありませんが、実際の配慮については努力義務として猶予されることもあります。


 1は、"大学センター試験"での経験からいえば、具体的には、他の受験者がいる場合、両社にとって別室での受験が可能かどうかということになります。
(一般的に試験室の入口までの同伴は認められますが、同室することは認められません。)

 2は、様々な配慮事項の中で、問題になりやすいのは時間延長です。休憩は実施中であっても各自の責任において行うことであり、そのためにどれだけ時間延長をすればよいのか判断はなかなか難しいと思います。ここでも独り言の問題が出てきましたが、他の受験者に迷惑をかけないことも大切なので、やはり別室での受験ということになります。

 また試験といっても様々なタイプ(資格試験と選抜試験など)があり、一概に同じようには要求できないという現実があります。
 一番大切なことは、実施母体である協会側が、発達障害のある子どもや青年でも、この検定で大きな自信と夢を与えることができると考えてもらえるかどうかですね。

 繰り返しになりますが、これらの配慮は、本人が力の出し切れる環境を整える、他の受験者に迷惑をかけないというのがその理由です。
 そのための監督者、試験室の準備などが実施側の負担になりますが、控室を一つ用意する、協会の方がその監督をすることは可能なことだと思います。
 民間の検定試験とはいえ、当然要求できることなので、やはり実施の意義を理解してもらえるかどうかです。
 ぜひ頑張ってその道を拓いていただきたいと思います。

2015年12月 2日 10:00 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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