子育てのTPP

 私は20年以上、日本LD学会の設立から、今日の8千人をはるかに超える学術団体になるまで、LDだけでなく、発達障害のある子どもたちの啓発と科学的な対応が広がる活動をしてきました。一昨年、後進に道を譲りましたが、最後の理事長講演でTPPという言葉を使いました。


 TPPといっても、環太平洋経済連携協定(Trans-Pacific Partnership、略称TPP)のことではありません。私は学会運営に当たっても、学校教育やこうした子どもたちの支援教育に当たっても、私が大切にしてきたことをこの言葉に託しました。

 最初のTは、Teachers(教師)、次のPは、Parents(親)、最後のPは、Professionals(専門家)です。

 学校教育の中心は教師(T)です。私たち専門家(P)はその先生を支援する立場にあります。
 最前線で、日々子どもと接する教師をリスペクトし、我々の専門家の力を少しでも先生方に役立ててもらうためにどのようにするかです。もちろん、親(P)に対してもそれは同じことです。
 
 また専門家(P)が先生(T)をリスペクトするように、先生(T)も親(P)をリスペクトしなければなりません。先生は担任が変わることもありますし、子どもが卒業し離れていくこともあります。
 
 親には、担任替えも卒業もないのです。子どもが自立するまで、ずっとずっとその役割は続くのです。

 ということは、その子どもの親自身が、誰よりも子どもを理解し、どのように育てていけばよいのか、どのように自立させればよいのかを、頭に描いていけるように、先生も専門家も手伝わなくてはならないのです。
 親が理解しなければ、どんなに周りが頑張っても、どこか足りないのです。

 このTPPの関係を大切にしてきたからこそ、LD学会は教育界で最大の学会に育っていきました。時々、教師と親の対立というか、緊張した関係がみられることがあります。そこからは子どもにとっての良い環境は作られてはいきません。
 教師と親とが良い理解、良い連携してこそ、子どもにとってのより良い環境が育つのです。
 

 先日、東京の江戸川区で、東京では3番目になる、LD(学び方の違う子)の親の会の設立を目指す会合が持たれました。そこでは学校の先生方に良い提案をしていくことが話し合われ、相互の連携理解の大切さが強調されました。
 
 いよいよ来月から、障害者差別解消法が施行され、特別支援教育も新たなステージへ移行します。
 一人一人の子どもを大切にする教育が根付き、発展することを願うばかりです。

2016年3月30日 10:00 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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