本の紹介

 最近、発達障害関係で評判の本を2冊紹介します。
 どちらも発達障害ご本人の書かれた本です。
 ☆☆☆☆☆

市川拓司『ぼくが発達障害だからできたこと』(朝日新書)

 市川拓司さんは、映画化もされ、みなさんよくご存じのベストセラー『いま会いにゆきます』(小学館文庫)の作者です。
 かつて、市川さんが出されたエッセイ『きみはぼくの』(アルファポリス文庫)を読んだ私の教え子が、「先生にとてもよく似た人がいる」と教えてくれたのがきっかけでした。

 当時、私自身が『LD教授(パパ)の贈り物』(講談社)というエッセイ集を出したところで、一種のカミングアウト本ですが、ふたりの小さいときの様子がそっくりなことに驚きました。ADHD的なところ、字がとても下手なところ、習字を習いに行ってたちまち破門されたところ...。
 私はあつかましくも自分の本を、出版社を通して市川さんにお届けしました。市川さんは読んでくださり、「私と上野先生は同じ匂いがする」とのご返事をいただきました。
 以来、友人というか、同志というか、なんどか発達障害を巡って対談したり、私が代表をしていた日本LD学会でも講演をしていただいたり、長くお付き合いをさせていただいています。

 今回の本は、いつもの魂を洗われるやさしい小説ではなく、ご自分のことを徹底的に語った、そして発達障害といった非常に個性的な特徴を活かして生きていくうえでの超ポジティブな本です。
 そしてその背景にはいかに母親の愛、影響が大切かを語る本でもあります。
 ぜひご一読を!

小林春彦『18歳のビッグバン ―見えない障害を抱えて生きるということ』(あけび書房)

 小林春彦さんは、18歳の時に「広範性脳梗塞」で倒れ、「高次脳機能障害」になりました。発達障害とは違うのですが「見えない障害」という意味で、症状的には似たところが多々あります。

 彼を知ったのは、私が東京学芸大学を退職した後、大学入試センターに呼ばれ、高等教育にも発達障害の理解をという仕事に取り組んだころのことです。
 高等教育に、入り口にあたるセンター試験で、入試配慮として発達障害への道を開く、それが願いでした。

 当時、発達障害もそうですが、「高次脳機能障害」という症状もあまり理解されず、センター試験での配慮が受けられないまま、彼自身、何度も入試にチャレンジしていたころです。東大の先端科学研究所からの詳細な彼についての読みの困難に関する報告書を読み、私はこうした潜在的に素晴らしい力を持ちながら、病気や障害によって力が発揮できないという理不尽さを何とか解消しなければと教えられました。
 その意味で、小林さんは私の障害理解の原点でもあったのです。
 「君がこうした人たちの道を切り開くきっかけになったんだよ」と直接、話したことがありました。

 現在、28歳の彼が、「見えない障害を抱えて生きるということ」という副題の本を出し、送ってくれました。ぜひお手に取ってください。

2016年7月 6日 10:00 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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